20年以上も前の、最初の結婚生活での話です。
会社員だった夫の帰りが遅いと、いてもたってもいられなくなって、何度も何度も彼の携帯に連絡を入れてしまう私がいました。
浮気などを疑っていたというより、交通事故か何かで彼が死んでしまったらどうしようなどありもしないことが次々に頭に浮かんで、ひとりで家にいると不安でしかたなくなるのでした。
今思うと、典型的な【愛着不安】だったと思います。
恋愛においても、好きになる人がいつか自分の前から消えてしまうのではないかという不安がいつもあって、そのため他の女性へのジェラシーも強かったように思います。
自分ではない誰かのところに行ってしまうのではないかと、心のどこかでいつも不安を感じていました。
大好きな人と結婚していても、たくさんの人と一緒に楽しく過ごしていても、心の底にはいつも「寂しい」という気持ちがあり、外では明るく振る舞っていた私でしたが、本当に大切な人との関係で安心感を得られない苦しさがいつもつきまとっていました。
この記事の目次
【愛着不安】の方の特徴
以前の私のように【愛着不安】を持った方の特徴として、以下のようなものがあります。
・「見捨てられ不安」がある
・自己肯定感が低く、承認欲求が強い
・感情をコントロールできない
・思考が0か100か、白か黒かなど極端になる
・過去にとらわれやすい
・人の顔色や評価に過剰に反応する
・人との境界線がなく健全な距離感がとれない
・誰かの期待に応えられない自分を責めやすい
・親子関係や恋愛で苦しむことが多い
・迷いが多く決断するのが苦手
4つの愛着スタイルと恋愛パターン
そもそも【愛着】とはどのようなものでしょうか?
愛着は「大切な人との絆、または絆づくり」のこととも言えます。
書籍『愛着障害』の著者である岡田尊司さんによると、親密な人間関係を築くパターンである愛着スタイルには主に4つの型があり、どういう愛着スタイルをもつかにより、恋愛や結婚生活だけでなく、仕事や子育ての仕方、ストレスに対する耐性や生き方そのものにも影響するということです。
また、現代では成人全体の3分の1ほどが不安定な愛着スタイルを持っているという研究結果も出ているそうです。
4つの愛着スタイルについては別の記事でも少し詳しく書いていますが、ここではそれぞれの愛着スタイルでおちいりがちな『恋愛パターン』について簡単にご紹介します。
「寂しい」の根本原因を知っていますか?
自分でもそうだったのでよくわかるのですが、『愛着不安』はとても苦しいものです。
たとえ好きな人と一緒にいても心の底にいつも「不安や寂しさ」が拭えないのは、根本原因として幼少期の親子関係が大きく影響しています。
愛着スタイルは生後18ヶ月、つまりやっと自分で歩けるようになる頃までの、もっとも近い養育者(主に母親)との関係性によって形成されると言われます。
たとえば自分で動くことのできない赤ちゃんは、お腹が空いたりおむつが濡れたことを泣いて知らせるしかありません。
このとき養育者が赤ちゃんのサインに気づかなかったり、欲求に応えないことが続くことによって欲求を満たしてもらうことができないと、赤ちゃんのなかに誰かを信頼して頼ることへの不安感や、自分はひとりぼっちで世界は安全ではない場所という感覚が生まれます。
大人になっても影響を及ぼす幼少期の心の傷のことを「インナーチャイルド(心に奥に存在するこどもの自分)」と呼びますが、幼少期に不安を感じることが多かったり辛い体験をするなど心の痛みが大きいほど、他者と親密な関係を築くときに困難を感じやすくなります。
幼児期だけでなく、実際にはお母さんのお腹にいた【胎児期】や、物心つく前の【乳児】のときからお母さんとの関係(絆づくり)は始まっています。
この時期にお母さんがあまり赤ちゃんに気持ちを向ける余裕がなかったり、生後すぐからよちよち歩きの頃の母親とのスキンシップやありのままの自分を認めてもらえるようなコミュニケーションが十分でなかったりすると、【愛着形成】はうまくいかず、幼い子どもの心の深いところには、生きることへの強い不安感や孤独感が根付いてしまうわけです。
根本原因が癒されると起こる変化
私のケースですが、大人になってからも心の底にずっとあった愛着不安の「寂しさ」がなくなったのは、胎児期や乳児期のトラウマを解放するセッションを受けてからでした。
私には2歳上の兄と年子の弟、さらに年子の妹がいます。
つまり私が母のお腹にいたとき、母は1歳児の兄の世話をしていて、私が生まれて生後7、8ヶ月のときには次男を妊娠していたということで、なかなか私だけに意識を向けている時間は長くはなかったのではないかと容易に想像できます。
自分では覚えていませんが、愛着形成に特に重要な生後18ヶ月までに母親との関係性において感じていた(であろう)不安や寂しさは大きかったのかもしれません。
トラウマの解消が進んだ結果、気づくと誰かと自分を比べて苦しくなる競争意識や根深い無価値観がクリアになり「自分は自分のままでいい」と自然に思えている状態になりました。
それにともなって人間関係も変化しました。
大好きな人が突然目の前からいなくなってしまうかもという根拠のない怖れや不安は消滅し、依存をベースにした関係とは自然と縁がなくなっていきました。
今は親子関係も友人知人との関係も互いを尊重できる穏やかな関係性となり、寂しさから誰かや何かに依存することも、感情をコントロールできなくなって身近な人を傷つけるような衝動がおきることもありません。
以前は寂しさを紛らわしたり、承認欲求から心身のバランスを崩すほど仕事に打ち込むようなこともありましたが、今では自然体の自分でできる仕事を自分のペースで無理なく進めるライフスタイルに変わっています。
私のケースを振り返っても、人生においてもっとも初期の愛着形成が人生全般に大きく負の影響を及ぼしていたことがわかります。
【愛着不安】の寂しさを癒す方法はあるのか?
人生の初期に作られた愛着スタイルを変化させることは、一般的な治療方法では難しいと言われています。
愛着形成にもっとも重要な胎児期から乳児期までのトラウマをクリアにすることは、本人の記憶を辿ること自体が難しいため、通常のカウンセリングやトラウマ解消の手法で改善することに限界があるためです。
では大人になってから乳幼児期に作られてしまった愛着スタイルを変化させることは、はたしてできるのでしょうか?
私の答えはYESです。
私が受けたセッションのように、自分では思い出せない潜在意識にあるトラウマを解放するか、身近な人に「安全基地」となってもらう協力体制をつくることで「安定型の愛着スタイル」を大人になってから再構築することができれば、愛着不安を克服することは可能です。
根源的な寂しさが本当に解消されると、人生において大切な人と心地よい関係を築くことは、難しいことでも怖いことでもなくなっていきます。
まとめ:寂しさの克服、未来のパートナーと穏やかな関係を築くために
大恋愛でゴールインした私の結婚生活は「いつか彼を失うかも」という片時も離れなかった強い不安が現象化したかのように、夫の不貞行為がきっかけとなり終わりを告げました。
人生の不思議というのか、離婚の酷いトラウマを経験したおかげで、心理学や潜在意識、スピリチュアルを学ぶようになり、長い間苦しかった母との関係性を見つめるなかで、寂しさの根源にあったインナーチャイルドを癒す方法と巡り合うことができました。
現在は過去の私のように愛着不安に悩む方に向けて情報を発信したり、ヒーリングやカウンセリングを行っています。
前述したように、人生の初めに感じていた不安や寂しさがクリアになると、あたりまえに自分の生きる価値を感じられるようになり、大切な人と穏やかな人間関係を築き、日々のささいなことに幸福感を感じられる生き方ができるようになっていきます。
最後に、【安定型】の愛着スタイルの恋愛の特徴をご紹介しておきますね。
愛着不安の、心の底にしみついた「寂しさ」から恋愛やパートナーシップが苦しくなってしまう方が、未来のパートナーと穏やかで幸せな関係性を築けるよう、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
こちらは音声ブログで恋愛と愛着スタイルの関係についてお話しています。(音が出ます)
また、過去の恋愛のトラウマや離婚が原因で前に進めないときの対処法についてはこちらの記事へ。