「超共感力」と言われるエンパスと、「ひといちばい敏感な人(子)=HSP/HSC*」は、一つのものとして括られて語られることが多いようです。
*HSP(Highly Sensitive Person)とはひといちばい敏感な人、HSC(Highly Sensitive Child)とはHSPの中でも特に子どもを指して呼んでいます。この記事では大人と子どもの両方を指してHSPとしています。
エンパスとHSPに共通しているのは、普通の人が感じない情報を敏感にキャッチする性質があり、生きづらさを感じることが少なくないという部分かと思います。
セルフ診断のための項目などを見ていると共通するものも多いエンパスとHSPですが、そこには明らかな違いが存在しています。
この記事では、互いに共通性も持っているエンパスとHSPの間にある、性質の異なる部分に焦点を当ててご紹介します。
この記事の目次
エンパスとは?
エンパスとは「超共感力」とも言われ、ひといちばい「他人の感情」に敏感です。
他人の感情だけでなく、あらゆる目に見えないエネルギーに敏感で、動物や植物、鉱物や環境、また目には見えない存在など、自分の領域の外にあるものと自然と同調しやすい性質を持っています。
(それぞれ、動物エンパス、植物エンパス、など、その方が特に同調しやすい対象ごとに〇〇エンパスという呼び方をする場合もあります)
エンパスの性質としては、自分と外とのエネルギー的な境界線が曖昧で、特に意識をしない限りは、勝手に外のものと繋がり混ざってしまい、対象のものとエネルギー的に同質なものになりやすい、というメカニズムとなっています。
(エンパス体質の原因としては、個人差はありますが、ざっくりと生まれつきのものが20%、生育環境が80%ぐらいは影響しているのではないかと言われます。)
エンパスは、自分の領域外のものとエネルギー的に「同調(同質化)」することによって、対象の情報をキャッチしています。
どちらかというと、物理的身体の感覚器官(視覚や聴覚、触覚などのいわゆる五感)でキャッチしているというよりは、別の感覚を使っている感じです。
人の感情というエネルギーに特に敏感というのが、エンパスの大きな特徴となっていますが、わかりやすい例では、誰かが喧嘩をした後の(すでに誰もいない)部屋に入って、「何か嫌な感じ」をなんとなく感じたりするのです。
エンパスの主な特徴についてはこういったものがあります。
- 人の感情や場所のエネルギーに敏感
- 争いや暴力の場面にめっぽう弱い
- 人込みでは異様に疲れる
- 人の顔色を伺ったり、人に合わせてしまいがち
- ひとりで静かに過ごす時間が必要
- きれい好き、芸術的なものやおいしいものに惹かれる
- 人の言葉の裏にあるものを感じるので、嘘をみやぶる
- 自分で自分がわからなくなる時がある
- スピリチュアルなことに興味をもつ
エンパスが人の感情をもらうメカニズムについてはこちらの記事も参考にしてください。
HSPとは?
HSPとは、「ひといちばい敏感な人」と言われます。
「HSP」とは、ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly sensitive person)の略で、さまざまな刺激に過剰に反応してしまう「高度な感覚処理感受性」と呼ばれる気質および、そうした気質を先天的に有する人を言う言葉です。
アメリカの心理学者のエレイン・N・アーロン博士が考案し、1996年に自著で発表しました。
「HSP」には、他者に比べて、職場や家庭での日常生活に疲れやすさや生きづらさを感じる人が多く、周囲から「繊細で神経質」「内気」などと見られがちです。
アーロン氏によると、「HSP」は病気や障害ではなく、あくまで気質の一種。五人に一人程度は見られる正常なものだといいます。
引用:HSP「日本の人事部」
「高度な感覚処理感受性」と言われるように、五感で感じる刺激の処理能力が高度で、普通の人が感じることのない微かな刺激まで受け取っている、というのがその特徴です。
(わかりやすい例でいうと、普通の人間がキャッチすることのない超音波などの音が聞こえる、など)
HSPの人や子どもは、「非常にデリケートで薄い皮膚」を持っていると比喩されるように、光、音、匂い、味、触感のすべて(もしくは特定の感覚刺激)に対してとても繊細で、五感を通して入ってくる他の人が感じることのない微細な情報に反応し、生きづらさを感じることが多いのです。
HSP診断のセルフテストはネット上に多くありますが、個人的には以下のものがしっくりくるので^^ 、ここで引用させていただきます。
- 人の気分に左右されやすい
- 大人数の飲み会や集まりが苦手で、いつも居心地の悪さを感じる
- 急な予定変更にパニックになってしまう
- 疲れやすく、1人の時間が欲しいと感じる
- 友達が狭い範囲に少ししかいない
- 人の輪に上手に入っていくことができない
- 好きな人や友達、職場の人などに本音で話せない
- すぐ人を好きになったり、相手に依存したりしてしまう
- 職場で周りの目が気になる
- 小さなミスにも激しく動揺する
- 一度に複数のことができない
- ミスが怖くて仕事に時間がかかる
- 仕事を頼まれると断れない
- 怒っている人やトラブルを見ると落ち込む
- 同僚との雑談や表面的な会話が苦手
- 仕事で注意されると、自分が全否定されたような気になる
- 人混みで疲労困憊する
- いまの仕事が向いてない気がして転職を繰り返してしまう
- 体調がすぐれないことが多い
- ちょっとしたことで落ち込みやすい
- 職場異動や席替えなど、環境の変化にうまく対応できない
- 相手が望むとおりにしようとして疲れてしまう
- 時間にいつもギリギリ、もしくは遅れてしまう
- 自分で決めるよりかは他人に決めてもらう傾向がある
- 結果を出そうと頑張りすぎてしまう
引用:「HSPのすべて」Take it easy for HSP
エンパスとHSPの共通点と相違点
エンパスとHSPの共通点としては「自分の外の情報に対して敏感で、しんどくなりやすい」という言い方ができるのではないかと思います。
エンパスの大半がHSPの性質を持っていると言われていますが、その繊細さは「外界と自分を分けるための(エネルギー身体*の)境界線が曖昧」というところに多くは起因しているように思います。
*エネルギー身体とは、物理身体より周波数が高い「目に見えない」微細エネルギー身体のこと
それに対してHSPは、境界線が曖昧というより、物理的身体の感覚器官が鋭いために同じ刺激でも他の人より「強い刺激」として感じられて圧倒されることが、「苦しさ」の原因となっているようです。
大抵のエンパスが、多かれ少なかれHSPの性質を持ち合わせていると言われてますが、一方ですべてのHSPの方が必ずしも他者に「共感(同調)しやすい」エンパス体質というわけではありません。
かなりざっくりですが・・^-^;、イメージしやすくするとこんな感じでしょうか。
・エンパス≒HSP
・HSP≠エンパス
ちなみに、人の感情のように目には見えないエネルギーに敏感という性質のために、HSPにスピリチュアルな性質を加えたのがエンパスであるという考え方もあるようですが、共感(同調)体質=霊的能力やサイキック能力ということではないので、エンパス(共感/同調体質)ではないHSPの中にも、スピリチュアルな能力を持っている方は少なくないと思います。
これは、エンパスが外の世界に同調することで目に見えない人の感情などの情報を得るやり方以外にも、目に見えない情報を取る方法は存在しているためです。
両者の違いが意味するものは
エンパスとHSPの違いを理解しておくことには、どんな意味があるのでしょうか?
その言葉自体が広く知られるようになったのが近年であるため、一緒に扱われることが多いエンパスとHSPですが、エネルギー的な見地からすると、全く性質の異なるものとも言えます。
自分がエンパスであることで「生きづらさ」を感じているのか、HSPである性質がそうさせているのかを自分で理解できていると、生きづらさへの対処法がより明確になってきます。
ここまでのおさらいをしておくと、エンパス体質は領域の境界線が曖昧なために「他のものと混ざりやすい、同質化しやすい」というのが、人生における問題を生み出しやすくします。
これに対してエンパス体質ではないHSPの場合は、エネルギー身体の境界線はあるのだけど、五感が通して外から入ってくる情報に圧倒されやすいということが「生きづらさ」を生んでいます。
わかりやすいイメージでいうと、目に見えないレベルでの「自分の境界線」が薄いのがエンパス体質で、目に見えない身体の境界線はあるが、物理身体の「皮膚が薄くて傷つきやすい」のがHSPである、とここでは理解しておいてください。
ということで、それぞれの生きづらさへの対処法は自ずから異なるものになってきます。
まとめ
自分領域の境界線が曖昧なために外のエネルギーと同調しやすいエンパスと、物理身体レベルで五感を通して受け取る刺激に対して「繊細な肌」をもつHSPの違いが少しイメージできたでしょうか?
両者の相違点をもう一つ加えるとすると、(エンパス体質ではない)HSPは、外から物理身体に届く刺激に敏感に反応してしまうという意味で、エネルギー的にどちらかというと「受け身」であるのに対し、エンパスは自分から外のエネルギーに同調しに行ってしまうことさえある、という点です。
(もちろんほとんどの場合、エンパスに自覚はありません。だからこそ「しんどさ」を生んでしまうのですが・・^-^;)
エンパスとHSPの「生きづらさ」へのそれぞれの対処法については、また別の記事として扱っていきます。
また、共感力が高く敏感すぎるお子さん(HSC)の子育てについては、こちらの記事をぜひ参考にしてください。