子どもに悪影響を及ぼす「毒親*」という呼び方が、ここ10年ほどの間に一般化されたように思います。
*毒親=「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」を指す言葉
毒親には、子どもが苦しんでいて明確なもの(例えば、虐待やネグレクトのあるケース)以外にも、一見愛情深く良い親にすら見える、過干渉や統制型の親までが含まれます。
例えば成人した子どもに対しても、まるで自分の所有物のように扱い、世話を焼いたり子どもの価値観や生活に干渉したりと自分のエネルギーをかけ続ける、その結果として(親としてはほとんど無自覚ですが)子どもの自立や幸せな人生を妨げているようなケースです。
親が年をとってくると、自分の愚痴を聞いてもらう相手として、または面倒を見てくれるのが当たり前の存在として、これもまた無自覚のうちに子どもの人生を束縛し続けるという形になっていきます。
親が重い・・
親が許せないと感じてしまう
子どもの側がそう感じている場合はまだ問題として取り扱いやすいのですが、一見問題なく仲の良い親子関係の中にも一人の自立した人間として子どもが幸せな人生を生きることを阻害する、当人同士すら気づきにくい「害」が潜んでいることが少なくありません。
特に、超共感力と言われるエンパス*の場合、そもそも自分の領域と他者の領域の境界線が曖昧なため、胎児期から幼少期までの間に感じた「親の感情」をあたかも「自分のもの」として自分の中に取り込んでしまうプロセスを経て、本人も気づかないうちに親との距離感はより緊密なものになっていきます。
*エンパス=共感力が非常に高く、他人の感じていることをまるで自分のことのように感じてしまう能力を持つ人。日本人の5人に1人がエンパスと言われます。
子どもだったら誰しも「親に愛されたい」という気持ちや、自分の命を守ろうとする本能から、庇護者である親の感情は敏感に察するものです。
エンパスの場合、感じとった「親の感情」をそのまま「自分の感情」として自分の一部としてしまい、その結果、本来親の向き合うべき「人生の課題」を「自分の課題」のように捉えてしまう傾向にあります。
この記事では、「恋愛や結婚がうまくいかない」と悩むエンパス体質の方が、生きる軸を親という他人軸から自分軸に戻してシンプルに幸せに生きるための、最初のステップについてまとめてみます。
この記事の目次
エンパスの特徴①:他者からの侵入を簡単に受け入れてしまう
エンパスは、自分の領域の境界線が薄く、よほど意識していないと無差別に自分以外のエネルギーと勝手に同調してしまう性質を持っています。
(他人の感情だけでなく、土地のエネルギーや動物や植物、鉱物などと同調しやすいタイプもあり、目に見えないエネルギー全般に対して感じやすく、霊的能力によって目に見えない存在との同調も起きやすいと言えます。)
そういった同調体質により、自分の領域への他者からの侵入を自分でも気づかないうちに許してしまうのです。
誰かと話していたらネガティブな思いをもらってしまい重くなった、とか、人混みや長時間でのグループ行動、病院が苦手というのも、目に見えないレベルでの人のネガティブな影響を受けやすいというところに起因しています。
ちなみにネガティブなものだけでなく、楽しさや希望などポジティブなものとももちろん同調するのですが、ネガティブなものは多くの人は「感じたくない」と抑圧しがちなので、エンパスのような人に拾われやすいのです^-^;
エンパスの特徴②:傷ついた人を見ると「助けたい」と感じてしまう
エンパスが「他者からの侵入を許してしまう」もう一つの理由が、困っている人や傷ついている人を見ると「助けたい」とつい感じてしまう性質にあります。
これはをエンパスの「優しさ」という言い方をする人もいますが、要するにエンパスはその人の「痛み」を自分のことのように感じてしまうため、自分が苦しくなってしまうんですね。
自分が感じる「痛み」や「苦しみ」を軽減したくて、その人を助けたくなるというのが正確なところかもしれません。
また、他人の痛みを「自分が代わりに感じてあげること」で、その人がラクになるとなぜか信じてしまっている嫌いもあります。(私がそうでした^-^;)
実はこれは大きな誤解で、自分の領域に流れ込んでくる他人の感情はタバコの副流煙のようなもので、こちらでどれだけ吸ってあげても、本人の負担が減る訳ではないんです。
感情のエネルギーは、本人が「感じ切る」ことでしか癒されることはありません。
本人がタバコを吸い続けている以上、他人が本人の体から害になる成分を取り除くことができないように、その感情を生み出している原因は、本人の中に存在しているものだからです。
話を戻すと、エンパスの「助けたい」という気持ちが、まさに他人の侵入を許すトリガー(きっかけ)となって、自分の領域の中に自分に悪影響を及ぼすものまで受け入れてしまっているのです。
親のトラウマは子に受け継がれる
エンパスは、お母さんのお腹にいるときや幼少時から、親が感じている不安や悲しみ、苦しみなどに強く同調してしまうため、それだけでも、通常よりバーストラウマやインナーチャイルド*は大きくなりがちです。
*バーストラウマとインナーチャイルドについては、こちらの記事に詳しくあります。
そして、上に述べた性質から「親を助けたい」という気持ちも普通の子ども以上に持ってしまうため、たとえ自分を犠牲にしたとしても自分の領域に「親の侵入」を恒常的に許してしまい、自分のトラウマに加えて、親のトラウマのエネルギーまでが上乗せされたような状態で育つことになってしまいます。
大人になってから「親が重い」「親が許せない」と思うようになるのは、こういった幼少時の体験から蓄積されたものを自分の中に違和感として感じるようになるため、と考えられます。
逆に、親との完全なる癒着状態(エネルギー的に一体化してしまっている状態)や共依存状態(癒着が恒常化してる状態)となってしまっている場合は、親との関係性は悪くないと感じているけど、なぜか人生に生きづらさや不自由さを感じる、ということになっていきます。
どちらにしても、大人になってからも親のエネルギーに大きく縛られたままで「自分」を確立することが難しいため、他者との健全な関係性(特に恋愛や結婚などの深い関係において)に困難を覚えたり、つまずきやすくなってしまいます。
親の人生を背負うことはできない
エンパス体質の子どもが親の状態に強く同調し、親のトラウマや感情を受け継ぐと言っても、そもそもの親の精神状態がクリアで穏やかな状態であれば、さほど悪影響はありません。
問題は、親自身が自己愛が低く、トラウマも多く我慢や抑圧している感情が大きかったりする場合です。(残念ながら、ほとんどの親は、自分も親から引き継いだトラウマで苦しんでいると考えられます)
親が心のどこかで悲しみや不安、寂しさを感じながら生きていて、夫婦関係にもどこか不満を抱えているような場合、自分の中にある空虚感を埋めたり、感情のはけ口を「子どもに求める」という構図が出来上がっていきます。
親は自分の生きる価値や満たされない思いを自分でなんとかする代わりに、無意識に子どもに満たしてもらおうとするのです。
エンパスである子どもは、そんな親の思いを必死に受け止めて、親を幸せにするために自分にできることをしようとしてしまい、知らぬ間に自分の人生を犠牲にしているということさえ起きてしまいます。
気がつかなくてはならないのは、他人の人生を本当に背負うことは誰にもできないということです。
たとえ親子であっても、互いの人生の問題を本人に変わって解決することはできないのです。
まとめ
ということで、エンパスが親と自分の人生を切り離すための最初のステップは、「たとえ親子でも、人生の問題を他人が解決することはできない」ことを受け入れることです。
どんな人間関係においても、互いの本当の能力を持ち寄って協力したりサポートし合うのであれば、「手を繋いだまま」それを行おうとするのは、とても不自由です。
一度手を離さないことには、相手をちゃんと見ることもできないし、自分ができることもよくわかりませんよね。
相手にとって本当に必要なサポートがどんなことなのか、それをすることが本当に相手のためになるのか、程よい距離感がなければ見誤ることも多いでしょう。
何より相手(親)と一体化した「不自由な状態」では、自分にとっての本当の幸せを手にすることは難しいと言えるでしょう。
親とエネルギー的に別個の人間となった健全な状態をまず確立しましょう。
エンパスという能力を、自分と自分の大切な人のためにちゃんとギフトとして生かしていくための、とても大切な最初の一歩です^-^。
さて、本テーマの続編はこちらです。恋愛や結婚で幸せで豊かなパートナーシップを育むためのエッセンスと、健全な関係性のための自己診断について、盛り込みました。ぜひ参考に。