過去の恋愛や離婚体験などで傷ついて、人を好きになることを躊躇してしまったり、誰かと親密な関係になることを、無意識に遠ざけてしまってはいませんか?
もう2度と、あんなに辛い思いはしたくない。それぐらいならいっそ、このままでいい・・
傷が深ければ深いほど、もう一度辛い思いをすることから自分を守るため、しっかり心に鍵をかけて誰にも開けられないようにしてしまいがちです。
もちろん心を閉じたまま生きることが悪いという訳ではありません。
深い自己(魂)が望む「人生の体験」に、必ずしも恋愛が必要という人ばかりでもないでしょう。
でももし、誰かを愛すること、愛を受けとることを「傷つくことの怖れ」から止めているとしたら、宇宙が与えてくれる人生の豊かさの多くを、同時に遠ざけてしまっているのかもしれません。
この記事では、「大切な人と深く繋がること(親密な関係)への怖れ」について見つめ、心の傷が作る「見えない檻」から出て、自由になる方法を模索してみます。
(本文はこちらの記事の参考和訳です)Fear of Intimacy: Understanding Why People Fear Intimacy
この記事の目次
恋愛や親密な関係への怖れとは?
そもそも無意識レベルの「人と親密に繋がることへの怖れ」は多くの人の中にあり、人生において近しい人との関係性の中でしばしば影響を与えます。
特定の誰かと体ごと心ごと親密になることを怖れる感情は、人生でもっとも近くて意味のある関係性(多くの場合、恋愛や夫婦関係)の中であぶり出されてくるのです。
怖れのきっかけ
自分が愛を怖れたり疑っているかもしれないと感じるとき、それは相手に拒絶されることだったり、時間とともに相手の気持ちが少しずつ離れて行くこと、こちらが与えた愛の分だけ愛を返してもらえないことなど、相手の言動として起こり得るネガティブな現象を怖れているように捉えがちです。
でも実際には「親密性への怖れ」は、ネガティブな事象よりポジティブな事象がきっかけとなって引き起こさるのです。
例えば、思いを寄せている人に自分が選ばれて、自分の中に深い愛情や幸福感などのフィーリングを体験するような時、親密な関係性に対する「深い怖れ」が目を覚まし、幸せな関係性を続けることを困難にしてしまうことがあります。
なぜポジティブな事象が怖れを引き起こすのか?
相手の心が離れていくことなどネガティブな現象ではなく、相手から愛されるというポジティブな事象から’怖れ’が引き起こされるとしたら、原因は「相手の言動」にあるのではなく、自分の潜在意識の中にある「親密な関係を築くことに抵抗している自分自身」ということになります。
どれだけ相手が自分のことを愛情を持って「肯定的」に見ていたとしても、自分の中に「自分を否定する」強い思いがあったら、そこに大きな衝突が生じます。
残念なことに私たちの多くは、自分に対する否定的で批判的な見方に慣れてしまい、心のどこかでそれを変えたくないと考えています。
そして、他の人から自分が決して肯定的な見方をされないように抵抗するのです。
誰かを心から愛そうとすると、自分に対する批判的で否定的な見方を変えなければならなくなるため、愛を受け取ることに抵抗します。
自分に対する否定的な態度はどこから来るの?
心の深いところに、固い信念のように存在している自分に対する否定的な見方は、幼少時の体験からくるインナーチャイルド(傷ついた子供)が原因となっています。
インナーチャイルドは、幼少時に強い不安や怖れを感じた体験、満たされなかった欲求が原因でできる「心の傷」です。
そのような体験によって、
- 自分が悪いのではないか
- 自分がやることは結局うまくいかないのではないか
- 自分は愛される価値のない人間なのではないか
という思いを作り出し、心の底に自己否定的な信念を根付かせてしまいます。
これらの自分に対する否定的な態度は苦痛だったり不快であるにも関わらず、自分が慣れ親しんだものであり、長い時間をかけて潜在意識で繰り返し強化され、自分に対して大きな影響を持ち続けているものです。
私たちは大人になるまでの間ずっと、これらの自己否定的な信念に基づいた言動を、自動的に選択し続けてきたため、もはやこの信念を修正することは不可能であるようにも思えます。
親密さに対する怖れから引き起こされる行動
私たちは、承認されること、賞賛されること、羨望の対象になることなど、手軽に満足を得られるようなアイデンティティを保つための愛であれば、拒絶することはありません。
一方で、特定の人と本当に親密な関係性になっていくプロセスにおいては、緊張を生み出す反応が出やすく、ときに愛する人を押しやるような言動を取ってしまいます。
ここでは親密な関係性への怖れの結果として、自分の本当の感情から距離を置くためにやってしまいがちな行動について、いくつか挙げておきます。
- (態度や言動において)相手に愛を差し出さない
- 相手に愛情を示したり承認することに対し、無関心または逆の態度を取る
- パートナーの行動に不信感や妄想を持つ
- 性的に興味を失う
- パートナーに対して過度に批判する
- 自分を防御するような態度、相手が近づくことを拒否するような態度を取る
怖れを克服する方法
親密な関係性への怖れを克服するためにできることは、愛する人たちを自分から遠ざけることの代わりに、自分の潜在意識の中にある「自己を批判、否定する態度」に、変化を起こすことです。
自分の中にある「親密な関係を怖れて抵抗しようとする力」の存在を、まずは認めましょう。
私たちは否定的な自己イメージに向き合うことで、他者との愛情のある関係に対する自分の許容範囲を少しずつ広げていくことができます。
心の中の「他者との親密性に対する深い怖れ」を少しずつでも克服できたとき、深い愛情で繋がれた豊かな関係性を人生において楽しむことができるようになっていくのです。
まとめ
他者と親密になることへの怖れは、人生のかなり早い時期に始まります。
幼い子ども時代、自分が拒絶されたり心が痛む経験をすることによって、私たちは感じることや自分の感覚を閉じてしまいます。
精神的苦痛に対処する方法として、他人に頼ったり期待しないことを学ぶのです。
私たちは、他者と現実でリアルなやりとりをする代わりに、ファンタジー(幻想や妄想)に刹那的な満足を求めてしまうことさえあります。
現実の人々と違って、ファンタジーは私たちを傷つけることはないからです。
心の傷が深い場合などは特に、リアルな人間とのやりとりによって承認を得ることや愛情を受けることより、むしろこの幻想の方に傾倒していきます。
人生での早い段階に、自分にとってかけがえのない関係の中で傷つき、再び傷つくことがないようにと自分を守るのです。
そうして愛されることを再び誰かに求めることもなくなります。
幼少時に周りの人に自分が大切に扱われていないと感じたり、自分を決して理解してもらえないと感じる経験をすることが、自分を価値のある存在として認めたり、自分を深く愛することを困難にしています。
自分に対して感じたネガティブな感覚が、そのまま自己イメージとして深い部分に刻まれ、自分の一部となってしまうのです。
そうして誰かが自分に対して愛情を向けたり、積極的に近づいて来るようなとき、自分の中に強い葛藤を感じるようになります。
彼の(彼女の)好意や愛情が、自分の古くて慣れ親しんだ(自己否定的な)アイデンティティから見たときに、果たして信頼して良いものかどうか混乱してしまうのです。
深いところに眠っていた親密さへの怖れが喚起され、誰かが自分を愛していることに対して、疑いや不審なものとしての態度をとってしまいます。
それでも私たちは、親密性への怖れを自分で克服していくことは可能だと考えられます。
愛を怖れる気持ちを超えて、誰かが自分を愛することを受け入れることができるよう、自分自身を成長させていくのです。
親密な関係性への怖れからの自分の言動に気づき、愛を拒絶する「自分を守るための」態度に変化を起こしましょう。
愛する人との関係において、無防備で傷つきやすい状態でいることを自分に許しましょう。
傷つくことへの怖れから、幻想に浸ったり、自分からあえて相手との距離を置いたり、愛を差し出すことを引っ込めたくなる衝動に抵抗し続けるのです。
愛を相手に押し返すことなく、相手と愛情を深め合うことへの不安を自分の中で感じながら、誰かに愛されることを少しずつでも許容することができたら、自分に対しても常に誠実でいられます。
親密性への怖れを克服するために、自分でできる必要なリスクを取りましょう。
そうすることで、愛を与えることも受け取ることも、その両方の能力があなたの中で時間とともに拡大していくことでしょう。