親の過干渉が苦しい
そんな思いを持ったことはありませんか?
また、穏やかで幸せなパートナーシップを手に入れたいと望むのに、いつも同じパターンでダメになってしまう。
そんな悩みはありませんか?
親の過干渉と苦しい恋愛やパートナーシップのパターンは関係しているかもしれません。
だとすると、苦しい親子関係を変化させることができれば、穏やかな幸せが続くパートナーシップを築くことも難しくないということになります。
この記事では、『愛情』という名のもとに子どもの自由な人生を制限する親の過干渉と苦しい共依存の関係について、また共依存的な恋愛のパターンを卒業する方法について書いています。
なぜ過干渉の親が共依存をつくるのか?
親の過干渉は、いつまでも子どもを自分の思う通りにしておきたい、という心の現れです。
人間の子どもって、他の動物と違って、何もできない状態で生まれてきますよね。
生まれたばかりの頃は自分で動くことも、排泄を制御することもできないため、誰かに24時間お世話をしてもらう必要があります。
ある程度自分のことを自分でできるように身体が発達するまでは、子どもは母親(またはその代わりの保護者)に依存しなければ生きていけない状態です。
はじめはそうでも、健全な母子関係では、子どもが成長して自分で自分のことができるようになっていくにつれて、子どもの価値観や子どもの選択を「自分とは違う人間」として尊重しつつ、子どもが1人でも生きていけるよう自立を促せるようになります。
過干渉の親は、おそらく幼少期から子どもを自分の所有物のように扱う傾向にあって(大抵は無自覚です)、自分の価値観=子どもの価値観のように捉えてしまいます。
子どもが自分とは別の価値観で生きることを認められず、いつまでも自分の価値観を押し付けたり、いくつになっても子どもを自分のコントロールできる範囲で生きていて欲しいと願ってしまいます。
ちなみに共依存とは、「当事者同士がその関係性に依存していて、無意識にその関係性を保つよう力がかかり、逃がれられない状態」のことです。
つまり共依存の親子関係では、「自分がいないと相手は生きられない」と互いにどこかで感じていて、自分と相手の人生を切り離して考えることができません。
過干渉の親が必ずしも「共依存の親子関係」をつくるわけではありませんが、子どもの人生を自分の思うようにしていたいという過干渉の親の望みは、共依存の関係を作りやすくしてしまいます。
何歳になっても子どもが自分なしでは生きられないという状態に固定しておくことで、小さい時と同じように自分の所有物のようにし続けることができるからです。
一方、共依存の関係において子どもの方は「苦しいけど親との関係を変えることは、親を見捨てるようで苦しい」と感じていたりします。
そうやって互いに「自分がいないと相手は生きられない」という図式が固定されてしまうのです。
親子の共依存と恋愛パターン
親子の共依存がなぜパートナーシップに影響を与えるのでしょう?
端的にいうと、幼少時の親子関係(特に母子関係)は、人生における全ての人間関係のベースとなるからです。
私自身、出産を経験して初めて知ったことですが、生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんが過ごす最初の時期のことをハネムーン(蜜月)と呼ぶんですね。
まさに恋人同士の蜜月のように、四六時中密着して愛着(生きる安心感)を形成する時期なのですが、母子であっても恋人であっても、蜜月はいつまでも続くわけではありません。
蜜月の互いが密着して過ごす時間は、相手=自分のようにさえ感じ、安心感や癒し、甘い高揚感を感じることのできる「幸せいっぱい」な状態です。
子育てにおいて、いつまでも子供が親を必要とするわけでなないように、(そうならないよう自立させることが、本来の子育ての目的ですよね)
パートナーシップにおいても、一緒にいる時間が長くなるにつれて最初の頃の高揚感も落ち着き、互いをより深く知って、安心と信頼をベースに心地良い距離感が取れるように少しずつ変化するプロセスがやってきます。
そのプロセスでは、相手は自分とは別の人格、別の価値観を持った1人の人間として尊重し、自分にないものを相手の中に見て自分の世界を広げたり、相手にはない自分の性質を深く知っていくことで「互いに成長したり高め合える人間関係」へと発展していきます。
生育環境において、乳幼児期のような親との関係がいつまでも固定されてしまうケースなど、人生最初の人間関係のなかで健全な「自立」のプロセスを通っていないと、他人との関係においても「自分=相手」のようになってしまう共依存的な関係が固定されやすくなります。
親子関係であっても恋愛であっても、互いの『価値観や人格の違い』を認められず、相手を自分の価値観の中に無意識に縛り続けてしまう苦しい関係となっていくわけです。
恋愛においても「相手が離れていったら自分は生きられない」と感じてしまったり、そこまででなくても相手が自分と違うことに強い不安を感じるなど、相手と一体化し人間同士の健全な距離感が保てない状態となってしまいます。
苦しい母子関係と離婚
私自身、母との親子関係には10代の頃から悩んでいました。
15歳で進学のために親元を離れ、20代で大恋愛した相手と結婚しましたが、この人となら50年でも100年でも一緒にいたいとまで願った相手との結婚生活は、10年後に破綻しました。
執着が強く、結婚生活で一緒に生活をしていても、いつも相手を失うことを心のどこかで恐れていたように思います。まさに「この人がいないと生きられない」と感じるほどに、自分=相手みたいに境界線がなくなっていたようにも思います。
破綻の直接的な原因は子育て中に起きた相手の不貞行為だったのですが、相手への執着が強すぎたために、どうしても起きたことを受け入れることができず、一緒にいることが苦しく耐えられなくなってしまったんですね。
それまでも本音でコミュニケーションを取ることができない母との関係には長いこと苦しさを感じていた私でしたが、離婚という人生の危機的状況の中で、母親の言葉や言動に「自分の苦しみを理解して、味方になってもらえない」とさらに傷つくことが重なり、関係性はその後さらにこじれていきました。
生きづらさや孤独感をなんとかしたいと離婚を機に心理学や精神世界などの本を手にとるようになり、自分のパートナーシップの問題の根っこに母親との苦しい関係がリンクしていることに気付かされて、まずは親子関係をなんとかしなければという結論に最終的に至りました。
共依存の恋愛を卒業するために
ここまで書いてきたことをまとめると
・過干渉の親は、潜在的に共依存的な関係を作りやすい。あなたは私なしでは生きていけないのよ、というメッセージを無自覚に子どもに送り続けている。
これは、親として子どもにいつまでも必要とされたいという気持ち(執着)の裏返して、ここから子どもの人生や幸せをコントロールしたいという思いが出てきています。
・親子関係(特に母子関係)は、人生の人間関係のベースとなる。なので、幼少期の親子関係に歪みや捻れ、感情の抑圧があるとパートナーシップでも同じパターンを繰り返しやすくなる。
・恋愛やパートナーシップで同じパターンを繰り返さないためには、幼少時の心の傷や不要な思い込みをクリアにするなどして、親子関係を変化させることが早道。
(これについては、たとえすでに親が他界している場合でも同様のことが言えます。)
つまり、まずは親と自分の人生をちゃんと別々のものにしましょうということです。
これが幸せで心地よいパートナーシップをつくるための必要不可欠な準備となります。
ちなみに別々の人生にするというのは、親と実際に縁を切るという意味ではありません。
幼少時から固定された親子関係の’力学’を根本的に変化させて、自分の人生の自由と責任を自分の手に取り戻すということです。
『親と自分の人生を別々にする』というと、お世話になった親を見放すような罪悪感や、親を傷つけてしまうという痛みを感じるかもしれませんが、それでOKです。
共依存に近い概念で’癒着’(ゆちゃく)ということばがありますが、癒着とは皮膚の一部がくっついてしまっていることを意味します。
実際に癒着状態にある関係性は、互いのエネルギーの一部がくっついて一体となってしまっている、または繋がってしまっている状態です。
くっついている皮膚と皮膚を剥がすとなると、痛いですよね?
だから実際に痛みを感じるわけです。
でも痛いのは一瞬です。
そのあとは、互いの体が自由になります。
パートナーシップにおいても、体のどこかがくっついたままより互いに自由な状態でいた方がラクだし、互いに心地よい関係を築けると思いませんか?
親であっても恋人であっても、癒着している部分があるとずっと不自由な状態で互いを縛りあってしまいます。
不自由な状態では本当に相手を助けたい時に適切なサポートもできず、その関係性は結局誰も幸せにはしないのです。
親との和解(私の場合)
結婚生活の破綻をきっかけに、苦しい母との関係を見つめ続けて10年以上経ちました。
母との関係に取り組みはじめた最初の頃は、幼少時から抑圧し続けていた自分の感情が爆発するような喧嘩もたびたびありました。
その後「親子の断絶」のような期間があったり、連絡はとるけれど心の距離は遠くに置いたままのような「冷戦」の期間があったりと、いろいろなプロセスを経ました^^;
最終的には幼少期の親子関係において作られた深いインナーチャイルドを癒し、母の心の中にあるインナーチャイルドも同様に理解するというプロセスを経て、穏やかな関係へとやっと落ち着くことができました。
以前では考えられないことですが、気がつくと素直に自分の気持ちや感謝を伝えられるような関係になっていたのです。
想像していたような涙して抱き合うような和解のドラマはなかったけれど 笑 必要なプロセスは10年以上をかけて静かに進んでいて、もう過去には戻りえない穏やかな関係性へとたどり着いたのです。
最後に
親の過干渉に苦しんだり恋愛や夫婦関係に悩みを抱えているのであれば、共依存のメカニズムを理解して親子関係に変化を起こすことで人生自体が大きく変わり始めます。
もちろん幸せなパートナーシップを得るために、必ずしも先に親子関係の改善が必要というわけでもありません。
クライアントさんの中には、自分のインナーチャイルドを根本的に癒すことで、ラクに穏やかなパートナーシップを築かれるようになる方も多くいらっしゃいます。
その場合は、穏やかなパートナーシップを育む中で親子関係の方も自然と変化していくようです。
親子関係とパートナーシップのどちらを先に取り組んでも変化を起こすことはできますが、幸せなパートナーシップと健全な親子関係が密接にリンクしているということは間違いありません。
親子関係によって決まってしまう私のような苦しい恋愛のパターン(4つの傾向に分かれます)については、こちらの記事を参考にしてください。