幸せな人間関係に欠かせない「安定型の愛着スタイル」はどうやったら作れるの?
子供を育てるときに気を付けることは?
大人になってから変えられることはある?
この記事では、こんな疑問や悩みにお答えしていきます。
乳幼児期に健全に親との絆が育まれて「安定型の愛着スタイル」を獲得していると、以下のようなセルフイメージで健やかに成長していくことができます。
- 私はありのままで愛されている
- 私は相手にとって大切な人間だ
- 私は守られる価値のある人間だ
- 私は相手に理解されている
- 一緒にいることで安全を感じられる
子どものなかにこのような信頼があれば、人生において困難を乗り越える力や自分の力で幸せになれる力に繋がっていくのです。
この記事の目次
4つの愛着スタイル
特定の人に対する情緒的なきずなである「愛着」には、4つの愛着スタイルがあります。
1.安定型–(自立的)
2.回避型–(拒絶型)
3.不安型–(依存的)
4.無秩序型–(無気力的)
愛着スタイルは生後18か月までの成長過程で形成され、人生全般の人間関係のベースになると言われています。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
「恋愛が苦しい、うまくいかない」幸せを遠ざける4つの愛着スタイルを知る
自分や他人に対して信頼して受け入れることができる安定型の愛着スタイルを持っている方の割合は、全体の6割程度と言われています。
残りの回避型、不安型、無秩序型は「愛着」になんらかの問題を抱えているということです。
では、愛着スタイルが人生にどんな影響をもたらすのでしょうか?
人が幸せを感じて生きていくために最も大切なのは、「安定した愛着」です。
愛着スタイルの形成は、先天的に持って生まれた遺伝子要因に勝るとも劣らないほどの影響があり、「第二の遺伝子」とも呼ばれています。
対人関係や恋愛、夫婦関係だけでなく生きる姿勢、仕事、子育て、ストレス耐性、心身の健康にまで大きく関係していると言われています。
愛着スタイルに何らかの問題を抱えている場合次のようなことを感じるケースがあります。
- 人の目が気になる
- 自分をさらけ出すことが怖い
- 人と関わることが辛い
- 心から楽しめない
- 自分がみんなの中に溶け込めていないような気がする
- 自分の本音が言えず相手に言わせようとしてしまう
- 人間に対してすごく冷めた目で見てしまう
- 拒絶されたり嫌われたりすることに恐れが出てしまう
安定型の愛着スタイルを持つ大人の特徴
愛着スタイルに何らかの問題があると、人間関係や心身の健康など人生において様々な問題が生じることが分かりました。
安定型の愛着スタイルを持つ大人にはどんな特徴があるのでしょうか?
5つの特徴をみていきましょう。
- パートナーの愛情を信頼できて、良好な関係性を築くことができる
- 感情が安定していて、他人の言動に振り回されない
- 自分の本当の気持ちを伝えたり、必要な協力や助けを求めることができる
- 良好な人間関係を築くことができ、仕事でも能力を発揮しやすい
- 必要以上にモノやヒトに執着せず、周囲をコントロールしようとしない
子どもが他者との安定的な関係を築くために必要な5つのこと
安定型の愛着スタイルを形成するため大切なことは、「親との絆」です。
絆が土台となり、子供は自立に向かってどんどん成長していきます。
乳幼児期の子どもが本当に求めている5つのことを解説していきます。
自分が生まれたこの世界は安全な場所であると感じられること
安心安全を感じられる源は、暖かい家があるなどの物理的な環境要因よりも、親の心理状態の方が大きいのです。
親の気持ちがいつも感情的で不安定な場合や子供に気持ちが向いてなかった場合も、子供は敏感に感じ取ります。
お腹が空いている、オムツが濡れている、眠たいなどの不快を取り除くだけでなく、優しい声かけとスキンシップが自分を大切にしてくれる人が側にいると感じることに繋がります。
その繰り返しで自分がやってきたこの世界が安全な場所だと感じられるようになっていくのです。
自分につねに注意が向けられていて必要な時にはサポートを受けられると感じること
言語がまだまだ未発達な時期は、泣いたり、怒ったり今の自分にできるサインを精一杯出して知らせたり、「イヤ!」などの自分が使える言葉で伝えようとしますよね。
自分の気持ちを分かろうと聞いてくれたり、代弁してもらうなど適切に対応してもらう経験を通して、自分に注意が向けられていると感じるようになります。
また、自分ができないことに必要なサポートをしてもらう経験で、人に頼るということも学習するのです。
恐怖、悲しみ、苦痛をやわらげてくれる存在を感じること
ハイハイ時期やよちよち歩きの時期の子供は、少しずつお母さんから離れて動きながら色々探索を始めますよね。
すると時に危険に遭遇して痛い思いをしたり、不安や恐怖を感じることもあるでしょう。そんな時に慰めてもらえたり、寄り添ってもらう経験が、自分の感じた恐怖、悲しみ、苦痛を和らげてくれる存在を感じることに繋がるのです。
自分がありのままで価値のある存在、ありのままで受け入れられていると感じること
子供が親の期待通りにできたから認められるということではなく、期待通りにできなくても、時には衝突があっても、親にとって自分は価値のある存在と思えることが大切です。
これには親自身が自分のことをありのままでいいと許せていないと子供にありのままで大丈夫と伝えることはすごく難しいことになります。
自分の成長を信じてもらえて少し離れたところから見守られていると感じること
危ないからといって大人が先回りして転ばぬ先の杖になると、子供は自分の力を信じられなくなったり、チャレンジしてみようと思う気持ちがなくなってしまいます。
自分のことを信頼して少し離れたところから応援してもらう経験がチャレンジ精神に繋がるのです。
安定型の愛着スタイル形成のためにできること
子供が本当に求めていることをお伝えしてきましたが、それに応えるための親の関わりや意識しておきたいことについてもう少し詳しくお伝えしていきます。
具体的にどんな関わりをすれば安定型の愛着スタイルを築くことができるのかを1つずつみていきましょう。
無条件の愛情を示す
条件なしで子供を認めて愛情を示すことが大切です。
もし親の思い通りの行動をしなかった場合でも「悪い子、ダメな子」などと子供を否定するような伝え方は避けたいところ。
「それをされると困る(悲しい)な」など、親が主語で伝えること(iメッセージ)がおすすめです。
子供の欲求やニーズを観察して必要なケアを行う
子供の欲求やニーズは性格や状況によって違います。
例えば、子供が痛い思いをした時に泣かないで頑張ったとします。
「泣いてもいいんだよ」と声をかけてもらい安心したい子供と、「泣かないで頑張ったね」と認めてほしい子供がいるのです。
子供が求めているものが何なのか、よく観察してあげてニーズを満たしてあげる必要があります。
年齢に応じた冒険を見守る
基本的には親は子供の安全を守る必要はありますが、子供自身が成長とともに自分の世界を広げていくことを見守る態度も大切です。
自分で自分を成長させる自己教育力を持つ子供に対して「危険な可能性があることは何もかもダメ」としてしまうと子供が自分で体験から学び取る力を削いでしまうことになるし、健全な自尊心も育ちません。
時には怪我をしたりと痛い思いをすることもあるかもしれませんが、子供の好奇心を満たしてあげられるようにサポートしてあげたいものです。
結果ではなくプロセスを認める
子供が成し遂げたことにフォーカスするのではなく、成し遂げるに至ったプロセスに着目して認めてあげることが大切です。
例えば、子供が絵を描いて「見て見て!」と持ってきたとします。「上手な絵だね」と声をかけるよりも、「一生懸命描いてたの見てたよ。色々な色を使って描いたんだね。」などと絵を描いたプロセスやどうやってこの絵を完成させたのかに着目して認めてあげると、子供の自信や次はもっとこうしてみようと原動力になっていきます。
自立に向けて子供を促す
子育てのゴールは自分の足で人生をたくましく生きる大人に育てること。成長に合わせて必要なタイミングで自分のことは自分でできるような環境を整えたり、自発的な行動を促す工夫や声かけが大切です。
子供のことを思ってなんでもやってあげていたことが、いつまでも親がいなければ何もできないということになり兼ねないのです。
まとめ
人生に大きな影響をもたらす「愛着スタイル」が、人生のかなり早い段階での親と子供の関わりによって形成されていくことについて見てきました。
子供の愛着スタイルを安定型に形成するためには、親である大人も自分自身が持つ「愛着スタイル」を理解して、自分について認めていないことを認め、許せていないことを許していくことが必要になるのです。
現在子育て中の方も、これから親になる方も、愛着不全のパートナーとの関わりに悩む方も、安定型の愛着スタイルに必要な要素を知って子ども(パートナー)と穏やかな関係を育まれていく参考にしていただけると幸いです。