「自分を変えたい、変わりたい」そう思ったとき変われる人と変われない人の違い<前編>

自分を本当に変えたい、そう感じる人生のタイミングってありますよね?

人生に行き詰まりを感じたり、大切な人との離別を経験したり、大きな病気にかかったり。

これらはいわゆる人生のターニングポイント(転機)と言われるものなのかもしれません。

ピンチはチャンス」とも言いますが、このタイミングで自分を大きく変えていく人と、変えられず結局同じことを繰り返してしまう人、この両者の違いって、何だと思いますか?

実は人間の潜在意識(本人が自覚しないまま、考え方や行動に影響を与える意識の領域)には、たとえ今が望まない現実だったとしも「現状を維持しよう」とする強い働きがあります。

この誰もが持っている「変化へのレジスタンス(抵抗勢力?)」についてちゃんと理解しておくことが、人生の転機に自分を本当に変えられるかどうかの鍵を握っています。

この記事では、人生で多くの人が経験する「変わりたい、けど変われない」のパターンから脱却するためのヒントについて見ていきます。

人がなかなか変われない理由

自分を変えたくても思うように変えられない理由を、今回は二つの切り口で見てみましょう。

1、コンフォートゾーン

一つ目は、心理的な「コンフォートゾーン」についてです。

コンフォートゾーンとは直訳すると「快適な場所」。本人が「安心、安全、大丈夫」と無意識に感じられている行動範囲のことです。

不安にならない行動範囲が、その人のコンフォートゾーンです。夕食を作る、通勤する、テレビを見るというような、いつもやっていることを頭に思い浮かべてみてください。不安になったり心配したりしない、慣れ親しんでいる毎日の行動は、コンフォートゾーンの一部だといえます。

新しいことに挑戦するような時は、「コンフォートゾーンの外に出る」という言い方をよくしますが、不安レベルが上がるような行動は、コンフォートゾーンの外に出ていると考えていいでしょう。

出典:ライフハッカー「成長するための近道:コンフォートゾーンとは、そして抜けだすには」

人はそこにどれだけ不満があってたとしても、「慣れ親しんだ場所や行動」をコンフォートゾーンと感じています。

たとえ自分の理想とはかけ離れた環境にあって、将来に不安を感じながらストレスを溜め込む毎日を過ごしていたとしても、そこがすでに慣れ親しんだものであれば、心理的には「快適(安全)な場所」となってしまいます。

頭では理想の現実が思い描けていても、そこがまだリアルに体験したことがない、コンフォートゾーンの外にある「未知の領域」である以上、そこに行くことに無意識的に不安を感じてしまうのです。

多くの人が理想ではないとはっきり感じている生活を送りながらも、そこに留まり続ける選択を続けてしまうのは、決して理想ではない今の状態が、自分にとっては「まだ経験のない(理想の)世界」よりは「はるかに安全」と感じてしまっているためです。

2、コンフォートゾーンの大きさは人によって違う

コンフォートゾーンの大きさ、広さは人によって異なります。

ざっくり言うと、変化をそれほど恐れず自分の思った通りに行動ができる人はコンフォートゾーンが広く、変化に対して不安が大きくなかなか新しいチャレンジに飛び込めない人は、コンフォートゾーンが比較的狭いということが言えるでしょう。

コンフォートゾーンの広さは、もちろん生まれつきの性格も多少は関係しますが、多くは幼少時の体験で決まってきます。

親がありのままの自分を認めてくれて、価値観を押し付けるようなことが少ない環境で育った子供にとって「快適な場所」と感じられる範囲は自然と大きくなり、大人になっても思うように自由に生きることがしやすいでしょう。

逆に親が心理的に色々なものに縛られていて、子供のしつけなどにも厳しい場合などは、子どもが感じるコンフォートゾーンは狭くなり、成長した後もなかなか自分の思ったように自由に言動ができないという、比較的生きづらい生き方となる傾向にあると言えます。

コンフォートゾーンは自分ではコントロールが難しい潜在意識にプログラムされていて、気づかないうちに本人の考え方や行動に影響を及ぼしています。

潜在意識のプログラムに直接変化を起こすことができれば、自然とコンフォートゾーンが大きくなり、自分のペースで自由にラクに生きることが徐々に可能となっていきます。

自分でできることとしては、コンフォートゾーンを広げていく行動を日々積み重ねていくことで、生き方を少しずつ変化させることが期待できるでしょう。

(具体的なやり方については、後編を参考にしてください)

3、コンフォートゾーンの番人?

この「コンフォートゾーン」を設定し、そこから出ないように守る番人のような心の仕組みがあります。

それが「エゴ」と言われるものです。

ここでは、あの人はエゴ的だ、など一般的に使われる「自己中心的、わがまま」という意味から一旦離れて、心理学的な見地からの「エゴ」がどんなものかをとらえてみましょう。

心理学的にエゴを捉えると「肉体を守ろうとする心のシステム」と言えます。この心に備わった防衛システムであるエゴの役目はたった一つ。

「体(生命)をなるべく安全な状態に維持すること」です。

ということで、エゴは「変化」を嫌います。コンフォートゾーンを出る行動を本人が起こすことに「それは危険かも」と常に警報を鳴らすのです。

なぜなら、たとえ心にとって辛いと感じている今の生活も、「これまでもそうだったように、ここにいればとりあえず生命の安全は保たれている」と、エゴは感じるからです。

つまり、心が本当の意味で満たされているとか、自分の生まれてきた目的(魂の使命など)に沿っているかとかは、エゴにとってどうでも良いことで(笑)、エゴは肉体を安全な場所に保持することのみを重視します。

コンフォートゾーンはエゴという強力な番人によって守られていると言えるかもしれません。

コンフォートゾーンを出ることを「生命が危機にさらされるかも」と本人に感じさせることによって、エゴは常に「現状維持」の方向に力をかけてくるのです。

エゴへの対処法1 このままでいたい理由を書き出す(言い分を聞く)

変わりたいと感じている本人の気持ちに反して「やめとけ」と強く力をかけてくるエゴ。

この無意識レベルの抵抗に対してどのように対処できるかが、人生の転機に「本当に変われるか否か」を左右するとも言えるでしょう。

ここでは二つほど、自分でできるエゴへの対処法を紹介しておきます。

対処法の一つ目は、エゴの言い分(いいぶん)に耳を傾ける、です。

やり方としては、「自分がこのままでいたい理由」を思いつくままに書き出してみます。

「いやいや、自分は変わりたいと感じているのだから、このままでいたい理由なんてないよ」

そう言いたくなる気持ちはわかりますが(笑)、それでも「もし、本当はこのままでいたいと感じている自分もいるとしたら」という前提で、なんとか書き出してみましょう。

(手書きでも、キーボードでもスマホでもいいので、とにかく言葉としてアウトプットします)

慣れていないとひねり出す感じになるかもしれませんが、頑張って最低でも10個ぐらい出してみましょう。

例えばこのようなものが出てくるかもしれません。

自分が変化しないでこのままでいたい理由があるとしたら・・・

  • このままでいることがラクだから
  • 変わることが怖いから
  • 今は辛いけど、いつかはなんとかなると思うから
  • これまでの自分を否定したくない
  • ダメな自分でいることになぜかメリットを感じてる etc..

内容は誰に見せるものでもないので、とにかく思いつくままに書き出します。出てくるものが嘘かもと思ったり、ほんとかなぁ?と思うようなものでも大丈夫。とにかく数を出せるだけ出してみましょう。

書き出したら、しばらく眺めて破棄してしまってOKです。出てきた項目一つ一つに意味づけする、自分の中で言い訳するなど、どうこうしようとする必要もありません。

とにかくあなたの生命を守ろうとごちゃごちゃ言ってくる(笑)エゴの言い分をまずは全部聞いてあげる、ということに意味があります。

エゴへの対処法2 戦わないで協力してもらう

さて、エゴの言い分を聞いたら、「いやいやエゴくん、そうは言ってもこのままじゃまずいでしょ・・」とかって反論する必要はありません^-^。

エゴとは戦ったり説き伏せようとするのではなく、その働きに感謝しつつ協力してもらうのが得策です。

やり方は、「自分が変化しても体はより安全な状態になる理由をさっきと同じように、思いつくだけ書き出してみます。

エゴも満足させながら、自分が変化をしていく方向を目指すのです。

繰り返しますが、自分が変化することへの最大の抵抗勢力であるエゴの使命は「肉体の安全を確保すること」。

シンプルにそれだけなので、自分が理想の状態に変化することで、実際には生命もより安全な方に向かうんだよ、ということをエゴに納得してもらうわけです。

変化したい気持ちと、現状からの変化を拒むエゴの「どちらが勝つか」という綱引きではなく、自分がより良い状態へと変化することにエゴにも協力してもらい、一緒に同じ方向に進もうという選択です。

書き出す内容は多少こじつけっぽくても良いので、エゴを納得させられる論理を見つけ出して、書き出しながら自分でも腑に落としていくことが大切です。

まとめ

「自分を変える方法」というと、一般的には

  • 明確で詳細なゴールを設定する
  • ありたい自分を言葉にして、なんども唱えることで潜在意識に働きかけるアファメーション
  • 理想の現実をありありと思い描くビジュアライゼーション

このような手法を用いて欲しい現実を引き寄せる、というのがポピュラーでしょうか。

私も経験がありますが、これらの方法を使ってうまくいく人といかない人、うまくいく場合といかない場合がありますよね。(おそらくやってみたけどうまくいかなかった経験をした人も多いのでは、と思います^^;)

この記事では、一般的な願望実現の手法の中で見落としがちな、誰もが潜在意識に持っている変化に対する心理的な阻害要因についてフォーカスしてみました。

まとめると、

・どんなに不満のある状況でも、慣れ親しんだものは心理的な「コンフォートゾーン」となってしまう

・生命保持のため、コンフォートゾーンから出ないように守っている強力な「エゴ」の働きが潜在意識には存在している

ということです。

さて後編では、このような抵抗を超えて本当に変化していく段階で必要となるエッセンスについてです。

「自分を変えたい、変わりたい」そう思ったとき変われる人と変われない人の違い<後編>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)