- 人に頼まれると嫌と言えない
- 何かあると自分を責めてしまう
- 外からの評価をいつも気にしている
- 何かに依存しやすい
- 本音を表現するのをどこか抑えている
- つい相手に合わせてしまう
自己イメージが低く、健全な自尊心を持つことができないでいると、このような行動を日常的にとってしまいます。
周りの人からは「いい人」という評価が得られても、自分の中には消えることのない「生きづらさ」や「苦しさ」を抱えてしまいがちです。
自尊心とは、良いところも悪いところも含めた自分の価値を、自分でしっかりと認められている状態です。
もう少しわかりやすい表現にすると「自分のことを誰より大切な存在として扱えること」という感じでしょうか。
’自尊心を高める’という表現は一般的ですが、「高める」というより、健全な心の状態では自尊心は「誰もが当たり前のものとして持っているべきもの」です。
健全な自己イメージや自尊心が育つためには、胎児期から幼少期までの体験の中に「自分が1人の人間として尊重されている」と感じられる体験の積み重ねが必要となります。
幼い頃に「自分という存在のかけがえのない価値」を感じることができないような辛い体験を多くしてしまうと、自尊心は傷つき、自己否定的な気持ちを抱えたまま大人になってしまいます。
心の中にある「自己否定」を生み続ける幼少時についた心の傷(インナーチャイルド)が癒されていくことによって、そもそも存在している「自尊心」は本来の光を増し、当たり前に自分を大切な存在と思えるようになっていきます。
低い自尊心や自己イメージで悩む方には、健全な自尊心を取り戻すための深い心の傷を癒すエネルギーワークが効果的でしょう。
この記事では自尊心が人生に及ぼす影響について、また日常の生活の中で自分でできることとして、自分で自分を認めるセルフ・コンパッション(自己承認)の方法について、ご紹介します。
この記事の目次
そもそも自尊心ってどんなもの?
自尊心とは、自分を尊ぶ心と書くように「どんな自分でも、唯一無二の価値ある存在と認める心のあり方」です。
ちなみに、自尊心が高いこととプライドが高いことは日本語では混同されてしまいがちですが、両者の意味するところはかなり違います。
対比をわかりやすくまとめてあるものがありますので、参考までに引用させていただきます。
<Self-esteem(自尊心)>
・自信に由来する
・自分の存在そのものを尊いと感じる
・欠点も含めて自分を受け入れられる
・失敗にめげずチャレンジング
・基本的に安心
<Pride(プライド)>
・劣等感に由来する
・他者と比較して、自分が上(下) と感じる
・自分の欠点の存在を許せず責める
・失敗を恐れて防衛的、保守的
・基本的に不安
自尊心が高い状態は安心して生きられる状態、逆にプライドが高い状態は「不安」ベースで生きているため、結構しんどそうな印象ですね。
健全な自尊心を持って安心ベースで生きられる状態とは逆に、幼い頃の体験で自尊心が傷つき、自分の生きている価値を自分で認められていない場合は、外側に「自分が生きていていい理由」を求めるようになります。
- 誰かに大切にされたい
- 世の中に認められたい
- 誰かに自分だけを愛して欲しい
- 特別な存在として承認されたい
- 自分を犠牲にしても誰かの役に立ちたい
心の中にこういう欲求が強ければ強いほど、自尊心が傷ついた苦しい状態で生きていると考えられます。
なぜなら、心の傷からくる「自己否定」が少なく、自分の価値を当たり前のものとして感じられていれば、他の人に何かを求める必要もなく、周りがどうであれ安心して生きていられるからです。
逆に言うと、自分が自分を本当には好きになれないから「誰かに嫌われている」ように感じるし、自分で自分をどこかで責めているために「誰かに責められること」を恐れ、またそれを現実化してしまったりするのです。
ちなみに自尊心が高い人は感情的にも安定し、自分を大切にするのと同じように相手を大切にできるので、包容力があり一緒にいる人を本当に安心させる力があります。
常に自分で自分を満たすことができるので、潜在的に相手に何かを求めることもなく、人間関係がこじれることもあまりありません。
自尊心が低いとどんなことが起こる?
自尊心が低い状態では、人生でどんなことが起き得るのでしょうか?
自尊心が低い状態では、愛情や承認を外に強く求めるにも関わらず、本当には受け取ることができません。
例えばパートナーが欲しいと思っていたとしても、自分の価値を認めていないため誰かと親密な関係になることを深いところでは拒絶し、本当に幸せになる前に自分で壊してしまったりもします。
お金やステータスが欲しいと考えても、ただ豊かになることを自分に許せず、疲弊しながら頑張り続けることでその対価としてのお金や人の評価を何とか得ることで生きようとします。
豊かになることも幸せになることも自分に許可が出せないがために、好きでもない仕事に人生の大半の時間を費やすことになってしまったり、自分を犠牲にして他の人を幸せにすることに何とか自己価値を見出し、共依存的な関係を繰り返したりもするかもしれません。
自尊心が低いために常に自分と人とを比較して「勝っている」ことでしか、自分の価値を見出せないという人もいるでしょう。
その場合は、人生の時間の全てが「戦い」となります。他者との比較において「勝ち続ける」必要があるため、心が安らぐ暇がない状態です。
そういう場合は、自分を高めることに「努力を惜しまず」頑張り続けることができるかもしれません。
ただ、本質的には他者との間にあるものは「違い」であって「優劣」ではないため、自分が勝手に作り出したルールの中で独り相撲をとり続けるような無駄なエネルギーを費やし続け、最終的には健康をも害するようなことになってしまいます。
自尊心を傷つけるもの、育むもの
大人になるまでに健全な自尊心が育つか否かは、冒頭に述べたように幼少時の体験が大きく影響を及ぼします。
具体的には、あなたの周りにいた大人がどのようにあなたを扱ったかということが、あなたの自尊心を傷つけもするし、育むことにもなるのです。
虐待やいじめがあったなど、わかりやすいトラウマ的な出来事だけが自尊心を傷つける訳ではありません。
逆にいつでもわがままが通ったり、猫可愛がりされる育てられ方が自尊心を育む訳でもありません。
あなたのごく身近にいた大人は、あなたのことを「個性を持った1人の人間として」尊重してくれていたでしょうか?
具体的には
- あなたが本当に感じていることを、受け入れてくれるオープンな態度でいたか
- あなたが大きな不安を感じているような時、その不安に寄り添って「安心」を与えてくれる環境があったか
- あなたの好みややりたいことをできる限り尊重して、やらせてくれたか
- あなたの考えや主張を自由に表現させてくれる場があったか
- どんなあなたでも「大切な価値のある存在」として扱ってくれていたか
- 大人であっても子供であっても対等な人間同士として向き合ってくれていたか
もしこのような環境で育つことができたのであれば、子どもの「自尊心」は自然と高くなり、大人たちがそうしてくれたように自然と自分のことも価値ある人間として尊重しながら、思う通りに自由に生きることが可能になっていくでしょう。
・・とはいえ、もちろんこのような理想的な環境が100%ある条件で育った人は、ほぼいないと思います。
あなたの親や先生をはじめ周りの多くの大人たちもまた、多くの「心の傷」を持ったまま、何とかバランスを取りながら生きていたと考えられるからです。
健全な「自尊心」を持った大人に育てられたか、子どもが自分に誇りを持って育つことができる配慮が十分なされた環境で育った訳でなければ、多くの場合は親や周囲の大人たちの「心の傷」を引き継ぐ形で成長することになります。
インナーチャイルドも、それによってできる「自尊心や自己イメージの低さ」も、放っておくと世代間で連鎖していってしまうのです。
幼少期の心の傷の原因は様々なものがあり、同じ条件でも子どもによって「受け取り方」や「感じ方」は全く異なるので、どんな体験によって自尊心を傷つけられたかを特定することは、実は容易なことではありません。
何れにしても、周りの大人の態度に心が傷つき、自分はここにいても良いのだろうか、自分は価値のある存在ではないのではないかという「不安」や「自己否定」を生む体験が多ければ多いだけ、成長した後も「ありのままの自分の価値を認められない低い自尊心」を持ったままで、生きることになってしまいます。
自尊心を改善するセルフ・コンパッション(自己承認)
セルフ・コンパッションという言葉は、日本ではまだあまり馴染みのないものです。
コンパッションそのものの意味を辞書で調べると、compassion=(救いたいと願う深い)思いやり、慈悲心とあります。
つまりセルフ・コンパッションとは、直訳すると「自分に思いやりをもつこと、優しくあること」ということです。
(ちなみにcompassion=同情という和訳も一般的ですが、自分に同情するという訳になると「自己憐憫」のような印象も出てきてしまいます。
個人的には自己同情や自己憐憫というより「自分を深く理解し、どんなあり方でも100%承認すること」という意味の方が、より適切ではないかと捉えています。
ということで、ここではセルフ・コンパッションを自己承認と訳しています。)
自分で自分を承認することとは逆に、誰しも心の中に「内なる批判者」を持っています。
何かあると自分にダメ出しをする心の中の批判的な自分の声です。
- 「ほら、やっぱりダメじゃん」
- 「私にはしょせん無理なのよ」
- 「私が〇〇だから、こんなことになったんだ」
- 「また失敗するよ、やめとけ」
- 「全部私のせい」
- 「もっと頑張らないとダメだ」
こんな言葉で自分を常に批判し続ける「内なる批判者」に対して、どんな自分に対しても思いやりを持って承認しようとする「内なる理解者」を心の中に確立するのが、セルフ・コンパッションです。
具体的には
- 失敗を責める vs 自分のやってきたプロセスを認める
- 自分にダメ出しをする vs ダメな自分も受け入れる
- 人と比べて出来ていないと感じる vs 自分の好きなこと、得意なことに意識を向ける
- もっと頑張らないと vs 頭と体をもっとリラックスさせよう
- 自分に落胆する vs 自分がいるだけで役に立っていることに目を向ける
- 罪悪感を感じる vs 感謝して、自分を許す
- 自分が嫌い vs 今は自分が嫌いな自分でも良いと認める
というように、「自分を批判する自分に対して、自分を承認する自分を同時に持つ」という意識を習慣化していきます。
心の中や意識だけで行うことが難しいようであれば、最初のうちはトレーニングとして書き出すようにして下さい。
ポイントとしては、まず「批判的な自分の声」を全て書き出すこと。その後「自分を承認する自分の声」を同じように書き出してみます。
また、やっていると様々な感情が出てくると思いますが、どんな感情も出てくるままに感じるようにしてみて下さい。
どうしても自分に批判的になってしまい、自己承認が難しく感じるようなら、いくつかの「魔法のフレーズ」を自分の中に持っておくのも良いでしょう。
「誰しも完璧じゃないし、完璧である必要もない」
「どんな自分でも大丈夫。宇宙に愛されているから生かされている」
「不完全な自分を、100%受け入れて愛します」
など、つぶやくことで自分の心が一瞬で緩むような、自分でしっくりくるフレーズをぜひ作ってみて下さい。
まとめ
あなたがありのままの自分のことを好きになれたら、人は本当のあなたを好きになります。
あなたが自分を誰よりも大切にできたら、愛する人からも大切に扱われるようになるでしょう。
長所も短所も含めた自分の価値を認められたとき、あなたにとっての世界は安全な場所に変わります。
そうやって、自分の生きている価値をちゃんと感じられる人が世の中に増えていったら、世界の色も明るいものに変わるような気がします^-^。